マッチ棒/もっぷ
きっとこれが最後
いつもそう思っていた
なにかさやかなことがあると
神さまから戴いているこの世での運を
いまこそ使い果たしているんだ
と
見あげるとどうやら降りそう
雪? だといいけれど…
しぐれきったこころにそれは
良い知らせのような気がする
少女は白が好きだった
いまでも、好きなままらしい
…老婆が屈んでマッチを擦っている
一本目
二本目
三本目
そして
消えていった
どこへ…
きっとこれが最後
いつもそう思っていた
見あげるとどうやら降りそう
冷たい、雪
それでもきっと良い知らせなのだと信じきったままで
老婆は
少女は
少女は三本目のマッチを…
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