初冬の台所/もっぷ
 
浜の足跡
とうに消え
浜のお城も
とうに無い

あの子も
あの子も
帰っていった
帰るべき胸へ帰っていった

母さんのシチューが
湯気立てる
初冬の台所

覗き込む
その子はよその子
家の子が気がついてにらむ

うつむいて
立ち去るよその子は
ズボンのポッケに手を突っ込んで

どこかへの道の途中
いつものようにコンビニに立ち寄り
レトルトの
シチューを手にとってみた

誰かの手からの
贈り物

よその子は大切に
レジに持っていって
自分のもの
にした

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