母の行方/梅昆布茶
の八百屋さんに貰われていった
楽譜が残っていても僕は読めないのでひくこともできない
自転車は免許の無い嫁が乗り回しているが
電車賃を浮かすために何駅分も遠出するのだという
そのわりには太いのだが
ちかじか自動車学校も卒検だそうだ
母の骨を姉に分骨するために
骨壷から頭蓋骨とおもわれる断片や
いくつかの白いものを小さな袋に入れる
父の骨もそうやって姉のところに行った
今は母はB5サイズの白いプラスチックのフォトフレームのなか
姉が撮った一年ぐらい前の写メのなかで微笑んでいるように見える
家族葬も火葬もすべてそれですました
もうすぐ来る勉強机や子供たちのために
すこしづつ母を整理してゆかなければならないとおもっている
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