夜ひとつ/もっぷ
風が色を脱いで
凪と転生したのでようやく
息をつける嵐のあとの
藍色の雨のなか
隣に誰の無く
歩く傘を持つ手がそ
っとふるえるのは
これは
弱さじゃないよ
、と聞くものも無く
涯へ蹴りつけるように
うそぶく
そばからこの純水
(と信じたいのです、
…伝うのは紛れもなく
わたしの頬
血が
通っています
生きています
ひょんなことから意識するものだと
感心しながら少しだけ笑む
けれど
やっぱり
淋しさはリアルで
描いても描いても虹とは
転生せずにいる
風が色を脱いで
凪へと転生し
雨の藍の許駆けだした
夜ひとつ
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