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佐藤伊織
もないし
そもそもその人が本当にいるのかすら
わからない
君は生きているようにみえるけど
単に息をしているだけだし
動いたり止まっているしているだけだし
偽りの安らぎや眠りの中で
本当は針に刺されたままつながれているだけで
不器用に
あの木の幹に向かって
告白してみようよ
木なら君を裏切らない
ように見えるだろう
ベンチでも
棚でもいい
大好きって
言おうよ
それって
誰に向かって?
誰が好きなの
君はだれなの
誰でもない君が
一体誰に対して?
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