あなたにパイを投げる人たち/Seia
 
はじめ!

の掛け声で始まる祭りは
一年に一度のコトで

何万の人、人、人が

何万のパイ、パイ、パイを

投げて投げて投げて

飛び交う皿
飛び散る白
飛び回る子

その中心で
何が起きたって
今なら誰にもわからない。

突然の無音は一瞬

目の前のパイで
かき消された


誰もがあなたを狙っていて

五階の窓から、路地裏から、
マンホールの下から、電柱の上から、

誰もが誰もを狙っている

ハンドル片手に、洗濯物の影から、
民家の土間から、垣根の垣根の、


ここなら誰も?とふと振り向いた、
疑心暗鬼のあなたにパイを。
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