∫ポルターガイストd幽霊/
 
ていない。たばこの弾数は十発、チェーンスモーキングで死んでいった兵士たちがおれの引き出しに眠っている。「あいつってさあ」耳をねじりあげて、呪術師が護摩壇を炊く。にわかに焦げたにおいがする。掲示物も、壁紙も、すでにすべて剥がれていて、滅茶苦茶に。(荒らされた室内でおれが貧乏ゆすりをはじめる。生き残ったのはおれたちだけだ。そこいら中に響くその声は澄んでいる。均等すぎるくらいだ。透明な布。帷子の。廊下に転がりまくった猫の死骸をよけて歩いていって、理科室まで辿り着くと、百頭の標本が机の上に乗っている。アイコラ作りが趣味だったあいつと、フィギュア集めが趣味だったあいつが一緒になって作ったものだ。魚のかたちは
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