海月の夜/永乃ゆち
 
雑ざって

夜に支配されていた。



嘘を憎むのなら。

嘘を否定するのなら。



あの晩

海月たちの喧騒に紛れ

初めて気付いたことを

夜が終わる前に彼女に

彼女だけに伝えたくて

伝えたくて。



月も隠れがちな夜に

彼女に会いに

何も持たずに

歩いている。


飾る物も無くして

ただの心臓ひとつになって

歩いている。



海月たちは遥か遠く

ぼんやり光って消えた。



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