君は陶芸家のようです/無言電話
頭を抱え一人ごち
無い個性をこねくり回しても
所詮こんがりとこんがらがって
焼けただれる無い個性です
見返りのある不幸なんて無いと
悔し紛れに間引く爪です
君は陶芸家のようです
気難しい顔で足踏みろくろに挑む
自称陶芸家のようです
その内カルチャースクールを開き
先生と呼ばれる事だけが生き甲斐となっていくのですか
目の前の柔らかな粘土
壊れ物のように優しく扱う時もあれば
床に荒々しく叩きつけてみたり
妙な直感を信じては
素焼きの己の器を投げ捨て
艶のある釉薬をかけては
見た事無い色の誕生を待つ
出来上がった器はどれも気に入らない
いや、気に入った時は俺の終わりだ なんて
またも頭を抱え目の前の粘土をこねくり回し
ご存知でしょう
触る毎に硬くなる粘土です
こねる毎に硬くなる粘土です
早く形を決めないと
変な形で固まってしまいますよ
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