久しぶりに自転車の後ろに乗りました/あかり
久しぶりに自転車の後ろに乗りました
私は弟の腰あたりにしがみつき
下唇を噛みしめていました
弟の背中はもう決して小さくはなく
細く長い目が 時々私をみて
落ちるなよ、と笑いました
父親も母親も 気付かなかった私の傷に
君はいつから気付いていたんでしょう
「暇ならママチャリでドライブしない?」
上り坂は大変でしょう?
でも下るのは怖いでしょう?
そんなことを聞いたら
それが醍醐味、と言った君
こぐのが苦手なら後ろに乗ってりゃいいんだ
人に任せるってことも相当な勇気、と言った君
何もかも 君は 私より 強くなった
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