我がうちなる銀河を低空飛行する/五十嵐 敬生
 
夕暮れになると
ばくは星間に漂いはじめるのだった。

追いつめられてすきとおっていた
声なき声は銀河の構造
肉体を失って誘いを待つあなたは光の粒子
粒子は崩れぼくは光速で見えないあなたを通過する
高電圧で眼をさまし去っていく光のひだを追跡する
時のダイナモはかからない
ランプは非常口に運ばれて
宇宙は光を記憶する

(星間ガスに接吻)

僕が瞳を濡らした、
街の常緑樹の中で悶えている柔らかいスピーカーに、
か細い即興文字が溶け込んでいく。

呪われた虚構のアルトサックスの内部で、
飢えた福音が自叙伝を退却させる。

肉体の巨大な威圧感と、
僕の網膜を詩の
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