風のなかの詩人たち/石川和広
 
兵士にしかわからない感覚だと思う。
しかし、それが戦後、転換することを、「白い箱」になって、眺めるところに
恐るべき明察がある。
あっけなく死に往く哀切の予感が、
「ひゅん」という弾丸が風を切る音として、とても身に沁みる形で使われている。
驚くのは、出兵前に書かれ戦死したのに、戦後の光景が透視されていることだ。
ユンの詩にも、通底したものがあるかもしれない。残念ながら、ユンのことは詳しくないのだが、それでも、微かに、風化していく、骨となる、そして、消滅していくときに、聞こえる魂の詩は、風が耳にあたるように、吹かれるまま遠く馳せていくのだろうか…

彼らは、僕らに風のように、時に優し
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