独月/阿ト理恵
星に矢を射る孤独な月の想いは、その距離を縮めることができないように届かない。想像のなかだけで結ばれる世界が創られるということは、星はただの光る点に過ぎず、豆電球に見えることにさえなる。
目で見える範囲の数字を遥かに越えた理解しようとも果てしない広さ深さの闇に比べたら、わたしとあなたの冷たい溝なんか胡麻粒ほどのことなのかしら。
つじつま合わせに渡した橋は、こらえて応えて 凪を待つ。
橋は大事なの? 答えてほしい、あなたに。
わたしの気持ちに素直で忠実であろうとすればするほど、ハッスルことばと行動は一貫性がなくなり、わたしはわたしを見失う。細胞の叫びが聴こえるほど、静かな場所で、自分以外に信じるものもなく誰も助けてなんかくれない時、わたしは、自分の細い指で、心臓の奥に蔵ってある手動式時計のねじを巻く。
あなたはなぞだらけネットさま。
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