砂の民/そらの珊瑚
 
であったのだ)一晩で石のように変わり果てていた

「なんてことだ」
J.Wは、ぼうぼうに伸びた白い眉毛にほぼ隠れている両の眼を見開いて驚き、そして昨晩の違和感を思い出した

「砂だ、砂の民がやってくる」

昨日の違和感の正体はひとつぶの砂であった
紙の間に器用に入り込んだ砂は、ぴたりと合わされているはずの紙とその次の紙の間で空気を産み、夜の間に瑠璃鳥の羽を酸化させてしまったのだろう

「なんとかせねばならん」

古い書物によれば、かつて砂の襲撃を受けた歴史が確かにあり
戦争の末(穏やかな紙の民にも、紙刃という武器がある)
砂の民は一粒では無力であるが、集結することによっ
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