はじめの一行/Seia
えーっと、なんだっけ、
重要な事だった気がする。
一行目になるはずの、
とても明確な一言。
えーっと、なんだっけ、
思い出せそうな気がする。
二行目に続くはずの、
行き先を示す一言。
「外部記憶装置を持っていない私達は」
違う。こんなんじゃない。
「サボテンは夜、花開く。コウモリが蜜を
違う。長くなりそうだ。
えーっと、なんだっけ、
もっとシンプルだったような。
一行目を飾るはずの、
ハッとするような一言。
えーっと、なんだっけ、
だんだんわからなくなってきたぞ。
二行目が生まれるために
必要で不思議な一言。
「純血種(オリジナル)を飼う、雑種(コピー)の人達は」
違う。日本語だったよ。
「誤解を溶いて、フライパンへ流し込む」
違う。跳躍が早すぎる。
えーっと、なんだっけ、
えーっと、
えーっと、
あ。そうだ。これだ。
「図書館に住む子供がいる。」
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