ふるさとを滅ぼされた難民、、、言葉の生まれる原風景へ(批評祭参加作)/石川和広
 
い、それで、いれてくれたのが、重度心身障害者グループホームの週二、三回の夜勤。

花田のことは、今回は疲れたので書かないが、そこは、花田の盟友、岡本太郎が見たピカソなんぞどうでも良くなるくらい、ふつーに、シュールな人物がシュールでない日常、シュール過ぎる日常を送る、正体不明な人たちに、僕らも素顔で接することしか出来ない、
あまりに、現実的な世界だった。しかし、生きることのむずかしさをまだ自分ごととして感じられず、それは、未だに大きな問題の影くらいしか見えていない。
花田は僕の生まれた年に死んだ、ある批評家である。

たぶん批評家は、目を見開いてみたために、目が壊れてしまい手探りでしかはじめられない、花田は小林秀雄に最初にゆった人だと思う。彼は安吾の晩年、安吾を涙もろい人だといった。落ちて死んだ小雀に涙するような。
それは、安吾が、空襲の中、もっと爆弾が落ちろといった言葉と意外な形で、つながっている気がする。ふるさとを滅ぼされた難民としての作家、、、、

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