空腹/たいにぃぼいす
空調の音色が無色透明な夜
耳に血液を集めるイメージ、要するに耳を澄ますと
付近に野良猫が潜んでいるヒントを掴める
1匹じゃなく2匹か3匹
去年の冬に見た彼らか、もしくは彼女らか
野良猫というのは食べ物をどうしているのだろう
と、ふと
耳の使い過ぎだろうか、喉が渇き
冷蔵庫から
ペットボトルを取り出し
キャップを取り外し
烏龍茶を取り込む
と
今度は
胃に血液が集まったか、体温調節か何かの仕業で
距離にすると1メートルくらい眠くなり
瞼が2グラムくらい重くなり
3分くらいの後
「お腹が空いた」が決まり文句の胃が
「お腹が空いた」と決まり文句を吐き
僕は空腹を知ったのだった
けれど
けれど、野良猫が
野良猫が、何を
何を食べたのか
知る事は無かった
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