火の鳥/結城 希
 
らと残ってはいなかった

火に包まれた 腕や身体が
形を失いながら
受け皿へ 落ちてゆく
そのたび火の粉が舞っては
炎が踊る

まるで 重さと引き換えに
空へと上って行くかのように

どれくらいの時間が経ったろう

いくつかの 儀礼的なやりとりの後
私たちは その場から立ち去った

車両に乗り込む直前に
屋舎を振り返ると
黒く煤けた煙突が 高く伸びていた

その先には
空だけがあった

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