ファンタオレンジ/永乃ゆち
かったからね。
今、夏が終わろうとしている。
おばあちゃんとの思い出は夏の思い出だ。
夏が過ぎてゆくのは
おばあちゃんがまた遠くに行ってしまうようで
毎年
やっぱり
寂しい。
生き物は、いつか終わりを迎える。
いろんな形で終わりを迎える。
おばあちゃんが幸せだったかどうかは
おばあちゃんにしか分からない。
けれど、私が今、元気に生きて、泣いたり笑ったりしてるのを
天国から見ていてくれるのなら
おばあちゃんに心配はかけたくないなと思う。
私は100歳まで生きて妖怪になるのが夢だから
天国へは行けないかもしれないけれど
いつかおばあちゃんと一緒に
煙草を吸いながらファンタオレンジを飲みたいと思う。
――――もうじき、夏が終わる――――
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