ブレーキ!ブレーキ!/Seia
山の間をするすると
縫うように走る
時にはトンネルに包まれたり
谷に沈む夕陽に照らされたり
湖のふちを綱渡りしたりしている
一人旅なのが 少しさみしいけれど
いつの間にか
夜の帳が落ちて
列車はゆらゆらと
闇を切りながら走る
時には月の光を浴びたり
窓の外に鏡写しの車両が
いつまでも並走したりしている
夕飯の事すら すっかり忘れていたよ
急に外からブレーキ音が聞こえて
窓の外を見てみると
いつもの駐車場で
黄色のビートルが
猫を引きそうになっていた
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