白紙〜HAKUSI〜/天使
 
君に手紙を書こうと思った。
『きっと、これが最後の手紙なんだな・・・。』
そう思うと、手が止まる。

書きたいことがなかったんじゃないよ。
ただ、君に伝えたい気持ちがありすぎて・・・。

君に手紙を書こうとするたび涙があふれて。

別に書かなきゃいけないものでもないし、
君に会って言えばいいんだけど・・・
言えないよ。『君にあえて本当によかった。』なんて・・・
『今までありがとう。』なんて言ったら君が悲しむだろう。
そう思うとかけなくて・・・・言えなくて・・・
涙ばかりが流れて出て、次々と落ちてゆく。

思いばかりが大きく、何も書いてない手紙を彼女に渡した。

何も書いてない白紙の手紙には、たくさんの思いがこめられて、
きっと、この手紙の意味がわかるのは
この世で二人だけだと思う。

ただ、白紙の紙に、にじんだ跡がポツポツと。

涙の跡が、語ったことは・・・・
          ・・・「さようなら」

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