12月25日〜クリスマスの夜〜/天使
 
二人並んで、手をつないだ恋人たちがすれちがう。
私は一人息を白くさせて、公園のベンチに座ってた。

去年の今ごろだったかな・・・あなたと二人・・・・あの恋人たちのようだったかな。

あぁ。ただ側にいるだけで、あんな幸せそうなのに・・・・
   ただ側にいないだけで・・・。

空から白い雪たちが降ってきて、私に幻を見せてくれる・・・。

ここにいるはずのない・・・・彼の姿が・・・ぬくもりが・・・
私の冷えきった手に、彼の暖かくて大きな手が・・・

夢だよね・・・幻だよね・・・
きっと、寒さで頭がおかしくなってるんだよね・・・
わかってるよ。現実・・・・現実じゃないって・・・・・。

けれど、涙が出てくるの。

嬉しくて、悲しくて、さびしくて・・・・わかんない。
感情がグチャグチャになって、涙へと変わる。

彼の顔を見る。雪の中、光り輝くあなたの姿。

いつも優しい笑顔。
『もう泣くな。』ふっとそんな声が聞こえたような気がした。

それは、12月の25日。

真っ白な雪が降る

クリスマスの夜のことでした。
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