狩り/結城 希
 

その命を徐々に削ってゆく

草むらを転がりながらも
彼女は再び駆けようとする
行く末を悟りながらも
受け入れることはできないと
主張するかのように

ほんの十数秒の間に
一つの決着が訪れ
彼女は私の前脚の下で
力無く 鳴いていた

喉に深々と突き立てた牙から
溢れ出す鮮血の奔流が
私の飢えと渇きを満たしてゆく

血の臭いが
他の捕食者たちを呼ぶ前に
私と私の仔は
彼女であったものを貪った

西の山に燃え尽きてゆく太陽が
バオバブの影を 長く大きく伸ばす
サバンナが赤褐色に染まってゆく

私と私の仔は
闇が大地を支配する前に
今夜のねぐらを探しに向かう

どこからともなく やってきた
四羽のコンドルが
忙しなく彼女の死骸をついばんでいた
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