うたをわすれたカラス/梅昆布茶
山へ帰りながらふといつものうたが
歌えないことに気づいた
村の畑で菜をついばんでは涼しい枝でやすみ
仲間たちとじょうだんを言い合ったり
洟垂れ小僧たちを少々おどかしてきをはらしたり
川の浅瀬で水浴びをして冷たい水でのどを潤すのさ
たまに人間の飾り玉を集めたりするけれど
気にしないでくれ趣味なんだ
でもからだの時計がボンと鳴って
家のぬくもりを思い出すとき
無性に夕日のいろをうたいたくなるのさ
俺たちのことを君らがなんとよんでいるかは知らない
生きてゆくには関係のないことだ
あるいはゆうがた飛び回るあのみみのとんがった奴らと
いっしょにしているのかもし
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