家族でありたくて/かんな
暑い日が続いている
逃げ水がゆらゆらとして近づけない
今年のお盆を迎えた
斜陽が眩しすぎるかのように
家族というものから目を逸らしていた時期がある
自らの病や
家族を形成する人々の
思いやりの在り処を探しては
見つからずに泣いていた日々がある
誰が悪いわけでもないのに
誰かのせいにし続けていた
今から十年ほど前
兄と姉が同時に大学入学を期に家を出た
その時家は
思いやりを物置に隠してしまったのだ
食卓の雰囲気ががらりと変わり
会話もなく
会話があれば口論でもあり
私はどこにも視点を合わせられず
ひとり宙ぶらりんになり
病んでいった
もし当時
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