生贄/コーリャ
 
てしまったら

クローゼットのなかには

さんかくすわりの天使がいて

あなたが死ぬまで歌をうたいつづけたら


素敵だなとおもったのですが

たぶん

ビルはおもいのほかくずれませんし

ことばのいみはわりとちゃんとわかってますし

天使とかいない

ピアノもなります

きせきとかもない

それは絶望とすらよんではいけない

魂とかほんとうはわからない

それでも

美しさをぜんぶさしひいたあとの地平に咲いた

なにかを

神聖とかんちがいしながら

生贄でもいいから

生贄でいいから






列車のレールは

水底まで届いていたから

なすがままに列車たちは

みずうみに

音もなくすべりこみ

やっぱり

手をつないだまま浮かんで

そのまま

空を飛ぶさまざまなものを

みつめながら

くるりくるりと

まわりながら

水没してゆきました。 )

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