イカロスの墜落/梅昆布茶
 
ブリューゲルの「イカロスの墜落のある風景」
野間宏に暗い絵と表現させた作品のひとつでもあろう

ボッシュなどの流れを汲んだ暗い閉ざされた色彩に
海中に墜落したイカロスの足だけがみえる

ギリシャ神話とは程遠い中世封建社会終焉の空気のなかで
ヨーロッパの北辺に生きたかれのどういう視点があったものか

寓話にみちた彼の作品群のなかで精細にかきこまれた農民や羊飼いや
イメージの氾濫にもおもえる怪物たちのおどろな絵画に混じって
そのイカロスは悲しげでなぜか清々しい気がする

贋作とも言われるが僕は気に入っている
海面でばたばたするイカロスの末期の足はそのまま
ブリューゲルのア
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