The world/サカナ
 

丸くなる手の中の夜
どうしようもなくて佇んでしまう世界
私はぐるぐるとする電車の中でさえ
見たことのない世界を手に入れている

夜を放したくないのです
この身体と同じように
環状の時間などに
乗ってしまいたくない
そして電信する
ここには
二本の足で歩かなくとも
伝わるものが
確かに存在しているのです
(タタン、タタン、)

スムース
ユースフル
カンファタブル
朝と昼と夜と
その次もその次の次も
もっと違うものを
(タタンタタン)

再び差しかかったカーヴ
もはや
背もたれだけが知る
私という重み
運ばれてゆくのです
何百何千かける二本の
逞しい足たちが歩いてきた世界を
そしてエンドレス
ひとり焦点の定まらない私は
夜を握りしめたまま
ぐずぐずと
終わりを与えることも
しないで
(タタンタタン
  タタンタタン
    タタンタタン
     タタンタタン
      タタンタタン
       タタンタタン

戻る   Point(8)