私達の間に/wako
 
多に人目につかないけれど
確かにいる鳥

引きずり出して白日の下に?

記憶の闇でもがく鳥は
時に羽をふくらませて
私の視界を遮ってしまう
   現実を直視する事なく
   優しい光景に包まれて
     思わず安住しそうになる
記憶の闇でもがく鳥は
時に空気を震わせて
鋭い爪で皮膚を裂く
   血のにおいと生暖かさが
   瞬時にあの頃の記憶を呼び覚ます
     反射的に身をかわす

夏は日に日に遠ざかり
ノウゼンカズラの花は落ちて
落ちて
鳥の姿はもう見られない
花を求めて
鳥達は行ってしまったのか

私達の間に飛ぶ鳥は
檻にぶつかって
ぶつかって
どこへも飛べず
さえずりもせず
羽音もなく

滅多に人目につかないけれど
確かにいる鳥

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