僕のいない朝は/榊 慧
 
僕のいない朝は
かすかな風の音のように、
「わたしは決して幸せを含んだ思ひに出遭ふとは考へてゐなかつたけれど」
予感する酵素
僕のいない朝は
「空しくわけようとするぼくたちのまなこが繋がれてゐる」
非情のともだちとあそんでいるように。
あおくてきれい、
「指揮官たちの特攻」
「終戦を知らないまま」
飛んでいく氷の柱とプラムの種
なにも変わらないものがあるということと、
僕のいない朝は
よるべない虚無。
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