石川浩司 さま/ともちゃん9さい
 
石川さんとわたし


耳の長い女子高生だった
長い信号待ちをしていた
黄色い旗をふったら黄色い電車やってきて
風街をふきとばしはじめたので
涼やかなおはじきお口に入れて後輩に電話した
あかずの踏切りかもしれなかった
どっちでもよかった

高2の美術の時間はまだ受験じゃないから
ピーターバラカン似の先生がおでこをぴくぴくさせながら
好きな絵を描いていいと言った

たまの「犬の約束」が出たばかりで
最高傑作だとおもっていた
特に「ガウディさん」から「あくびの途中で」の流れが
次の頁の必然としかいいようのない秀逸さで
でっかいCDラジカセで聴くたびにていねいに鳥肌を
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