ポストマン/yo-yo
 
ればいいんだ
これからおれは
なにをすればいいんだ


美しいひとも
大きな赤いポストも
ぜんぶ消えてしまったんだ
とポストマン
日は昇らない日は沈まない
おおデスタン
こんどは失業したおれが
ラブレターを書くはめになった
手紙の宛先はもちろん
ミエニアヴロ市トゥントゥリコルヴァ村8番地
ミス・イリナ・トゥントゥニン
あなたは世界一美しい
あなたは
青い空と白い丘のすべて
草の道と風のしるべ
両手を広げても
おれの言葉は追いつけない


白い氷の丘をみっつ越えて
毎日ポストマンは言葉を追った
ラブレターって愛の言葉だろうか
愛の言葉ってどこにあるのだろうか
おれが知ってるのは
村に残るうたの言葉だけ
美しいひとがうたった水の旋律
鯨のうたが思い出せない
ミエニアヴロ市トゥントゥリコルヴァ村8番地
その村は水の中
ミス・イリナ・トゥントゥニン
もしや彼女は美しい鯨
いまも返事はかえってこない


ポストマンは書きつづける
目の前には大海原


無数の紙ヒコーキが漂っている






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