勝者へ/無言電話
道の端っこを歩くと落ちるよ地球が丸いなんて思ってるんだから君は
捨て台詞とは多分思わないんだろう勝負に勝った君はくるくると足を回していたから
それからの僕は度々地球は丸くない事にして用心深くにじにじと摺り足で歩いている
やっかいなのは階段だ
君に負けてから全ての階段は一段目に足をかけた途端みるみる内に螺旋を描いていく
行き場所に辿り着くまでに僕はついつい君の事を考えてしまう
もしや そのための螺旋階段では無いか
そう思う僕はいまだに勝負に負けていて
楽しかったね四国
ゆでたての饂飩と
ちいぽけなはりまや橋と
フェリーのとんでもない時刻表と
いつも少し傾いた君の笑い顔と
酸っぱい蜜柑みたいな君の唇と
冷たく尖った君の小さな鼻と
デパートの屋上のよく喋る鸚鵡と
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