シノハネ/平井容子
っていく
手がいっぱい生えてきて
蜘蛛みたいだと
笑っている
空気が震える
祝福されたままで
どこへでも
沈んでいける
加速する景色が
わたしを燃やしている
血色を失った
いらない手足を?ぐかわり
悟られてはならない羽がある
「即した」
「奪った」
「焦がして」
「抱いた」
そろいもそろって
処分待ち
「空洞で満ちているところをいつか見せてあげられる」
「わたしたちなら」
横たわったまま立っていたい
醒めながら眠っていたい
痛みながら救っていたい
なにもかもを砕きながら
まだ保たれていたい
こぼれたナイフで救う手の
つよさとはなんだろう
類焼するカンバスに一対の羽を足して
ただただ泣いた
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