六月の駅から/もっぷ
 

だがどこまで行ってもアスファルトに塞がれ
転がっているのはいまとこれからを
ひたすらに案じる記事のあふれた
新聞紙ばかり

興味本位にそのうちの一枚を拾ってみると
右が正しいとの判決が下された
という海難事故の記事がトップに踊っていた

、思いっきり
笑い転げたくなった嬌声をあげて

このままここで餓死させてくれないか!

六月の駅からの
わたしの軌跡のこのまばゆさよ!

若い鮎
山羊のこども
ランドセルの老婆
の写実で
手荷物がすっかり
重たくなってしまった

生まれて初めて
気がかり、というものを知った

けれどこの駅で下車したことにも
左のみちを選んだことにも
後悔だけはなかった

気がかりというものの新鮮さに
ただ打たれていた
それは澄んだ水滴となって
空から落ちてきた
やがて落雷を伴う激しい雨となり
傘を持たないわたしを
思いっきり殴るほどになった

好きな、だけ

と雨雲に伝え
真っ直ぐな左のその涯への旅をいま
続けています
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