六月の駅から/もっぷ
軽い手荷物で降り立った
六月の駅
梅雨の晴れ間
見あげると若い鮎が
翼を休めていた
炎上、
前の雰囲気のなかで
穏やかに営んでいる街路
山羊のこどもに
みちをたずねると
右だという
真っ直ぐではない
とつけたす山羊
に頷いて
お礼に微笑みを
置いた
ロータリーで一人の
目立つ老婆を見かける
背中には黄色いランドセル
靴はまだ白い
「茜音行き」のバス停に並んでいたが
しかし程なく到着したそのバスには
乗らなかった
わたしは左を選び
真っ直ぐなそのみち
を歌を連れて
歩み始めた
星屑が容易く手に入ると思ったから
だ
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