その時に呼んだのは/もっぷ
間違えて泣いている
六月に北西風が泣いている
迷い込んでしまって
六月の森で困っている
仲良しのいない
寒い、隣には
ふと子猫が
寄り添ってきた
北西風は怖がらないよう
気をつけながらそ
っと声をかけてみた
寒くはないかい?
子猫は素直に
頷いた
寒いよ
どうしてかなぁ
北西風は
かなしくてたまらなくなった
自分はどうして
寒いのだろう
自分の隣はどうして
寒いのだろう
そのうちに子猫は
六月の本物の風にみちびかれ
発っていった
夏
へ、と
北西風の寒い、隣には
なにすら不在となって
北西風はついに
母さん…、と
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