砦/もっぷ
 
あなたの
ひと言ひと言に
眩暈するんです
月並みでしょうか

やわらかくどこか
秋の落ち葉のような声を
聴くたび
バイオリンの絃のように

わたしは驚きます
そしてそのままのこころの漣に
身をゆだねるんです

風のなかさながら
春を舞う桜花でしょうか
もちろんたとえです

古木のような
わたしですから

もう踊れない
トウシューズですから

あなたの
ひと言ひと言を
てのひらに広げて

きょうもびっくりしています
なぜこんなにも

、秋へ
行きたい
落ち葉に
懐きしめられたい
あなたに

抱きしめられる儚夢を捨てて
わたしは砦を築いて
隠れてしまいたい
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