一服/HAL
 
めていた煙草を自販機で買い1本だけに火を点け残りは塵箱へ捨てる

もう40年以上も持ちつづけたジッポのライターは
もうぼくの手になじむものになり置き去りにはできなかった

久しぶりのラークの味は最初はやや苦かったけれど
深く吸い込むと60兆の細胞が喜ぶ最後の幸福の阿片になった

遂にこの歳になるまで心からの一服はできなかったけれど
これから長い長い一服が待ってるのをぼくはもう知っていた
戻る   Point(7)