くらげと牛と罪/無言電話
女神 空を見てごらん
宙を浮かぶくらげだらけだ
漂うくらげは無い中身を求めている
自分の形にぴったりなものを探している
女神 山を見てごらん
てっぺんから牛が生えてくるだろう
牛は時間を忘れ呪いを反芻している
罪を許さず人も許さないまま
憧れるのは立派な無神論者だ
女神 地を見てごらん
罪が自らの重みにめり込みながら這っている
罪は入れ物を探している
自分と同じ歪みの入れ物探している
―僕(神)の独白―
くらげのその八割は罪の抜け殻なのです
漂う儚げなそれは下を向く事さえ叶わない浮力なのです
沈む事無く透明なそれは罪は取り戻
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