描かれたものとリーディング/もっぷ
誰も知らないんじゃないんです
知られたくないから言わなかったんです
その、
次の台詞までは考えないままに
息もせずに眼も開けずにただ
立ち尽くしていた時間はいったい
どのくらいだったのだろう
また
同じことしてるあの頃と
また繰り返し
まるで寄せては返す波のように
こどもの城は壊すもの、と
こどもが自ら壊して帰る
そんなナンセンスをこんなおとなが
やっている
赦されるわけがない
神さまをたずねていつもいつも
お布団にもぐるのだけれど
お会いできない理由がわかったような
気がした
すると誰かが言っているのが聞こえてきた
誰も知らないんじゃない
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