爬虫類の時代/梅昆布茶
 
きみが廊下を曲がってきたからね
早鐘だってあんなに打ったらこわれちまう
ぼくに理性なんてないしょうこだよね

世界は手の届くものと無限より遠くにあるものとで構成されてるって
はじめて気づいたのもあのころさ
ぼくはぽちと話せるのにきみとは話せなかった

石のつめたさと夕べの星ととこぼれそうなこころ
退屈をおてだまにしてあそび呆けてひとりきり
自転車とぽけっとには時の化石

ぼくたちが駆逐していくのは色褪せたあいどるだけじゃあない
やさしいとさかをもった爬虫類は
いつしか風化し歴史という図鑑の中の
一枚の挿絵になってしまうのさ


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