The bridge of a flower *for my mother*/南 さやか
受け継がれる遺伝子
五十年前の彼女に 少しずつ似て来る
私の顔立ち そして仕草
出掛けに纏う香水の好みまで 少しずつ少しずつ…
あんなにも憎みあい いがみあっていた私たちなのに
時が二人を変えて行く
遺影は何を 伝えようとしているのだろう
愛のない合掌に 何も云わず耐えて来た彼女の月日が
重くのしかかる朝
部屋を埋めつくす花の絨毯の上を
今 彼女が歩いて来る
まるで花嫁のような目をして
私の胸に還って来る
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