伊藤氏の幻想/mizunomadoka
 
かしながら
「何を言ってるのかわからないだろうが」
とすこし照れたように言ったんだ
「来週まで、正確には来週になっても彼女が見つからなければ、
力を貸してやろう」とね

私は黒いスーツを見た
そして目が合った
意味は分からなかったが
友情を感じたよ
「ありがとう」と礼を言ってね
それきりだったな

「それきり?」
「ああ」
「オチはなし?」
「マンガじゃないんだから、オチはないさ」
私は彼女にほほ笑む
「たいていの素人なら、雨が降るところまで話してしまうんだろうけど」
「意味が分からないわ」
「黒いドレスのきみも素敵だろうね」
彼女は首をふる
それが最高にセクシーだ






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