静という泉/月乃助
 
できず
裸足になって 泉水を踏む
痛いほどのつめたさに
心のほとりの 消え去らぬ淀みを洗う

 
震える私をみて
森が、泉が、風が、鳥が、
高笑いをあげ、
 

( 穢れなど 古より ありもしなかったはず ) と、

白いさざなみを立てる


私は、
脱ぎ捨てた靴を 泉に向かって投げつけた

黒いそれは、笑い声に飲み込まれ 大きな波紋の中に
姿をけした







歩むすべを失う









波紋をみつめ
想い
また、波紋をみつめ
私は、もうこの森から帰れぬと
この里にいようと 
心にきめ た



















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