ハトムネの胸騒ぎ/灰泥軽茶
 

顔面を勢いよく両手で張り
帰宅し服を脱ぐと
胸の辺りがほんのりもりあがり
仲良くクッキーの形をした
ハトが二羽向かい合わせでくっついていました

それ以来彼はときどき言いようのない胸騒ぎと

それで何かのお告げを聴くようになったり
前触れを予知できるようになった訳ではなく

小さな声のハトの鳴き声を聴くようになり
年中べストを着用するようになり
クッキーが食べれなくなり
豆が大好物になりました

ただ一点道には異様に詳しくなり
今は始終ラジオをつけながら
腕の良いタクシーのドライバーをしています





戻る   Point(11)