万の葉の煌き/wako
、怒りが
ゆらゆらと立ちのぼり
すすり泣きが、ささやきが、歓声が、怒声が
地鳴りの様に近づいてくる
熱気の渦があたりを飲み込み
時の壁を突破する
化石は色彩を取り戻し
ミイラはむっくり起き上がる
不思議な歌集
「万葉集」
?
耳に残った蜂の羽音と
先生の声は
今でも時々甦る
「今は何の役にもたたないけれど・・・」
春が来て
蜂が飛び始めると
私達はあの教室に舞い戻る
そして
あの言葉を噛みしめる
若気の至りの居眠りも
罰当たりな屁理屈も
先生はすっかりお見通し
それどころか
ずっとずっと先までも
先生はこんなに遠い将来に
素敵なワナをしかけられていたのですね
見事にはまった私達は
その巧みさに驚くばかり
いく千万年の彼方までも見わたせそうな
そんな春が過ぎていく
言葉は生き続けるだろうか
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