万の葉の煌き/wako
 
寝るに限ります  
  ねぇ、本田先生

目の前の夢と可能性にかすんで
古い言葉は枯れ枝の山に見えた
歳月の陰で色あせていく運命の
二度と生命を吹き込まれる事のない運命の
時の忘れ物に

    ?

気配に目を覚ます
耳に入るのは
時を刻む音と
遠くで電車が走る音
目をこらせば
かすかな光を反射して
本棚のあたりから

  どこ、どこ
  どの本?

取り出して、しまって
取り出して、しまって
一冊の本にいき当たる

騒ぎはここで起こっている!

角がすり切れて
薄汚れた一冊の本
セピア色のページを繰れば
カビの胞子が舞い上がりそうな
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