女のあたい/月乃助
こには、昔 売春宿があった
*
昼間から街に立つ女は、
ホテル代別で 20000円だと男を誘った
友達の家を追い出され
ネット・カフェで暮らしていると
そんな話だった
*
森の女は、そんな話をきいて
自分の値段をはかりかねた
森の 屈強な男たちの 巨きな睾丸をゆらす猿たちの 赤ら顔の鬼たちの
値踏みする目に あらがいながら
*
夜の冷たさが
帳をおろす
雪のとけた 山道に影をなげる
月夜
女を買いにやってきたのかと、
戸をたたく音に
獣か 人か 鬼か 男神か
いつまでも 眠りのはしで
それを聞いているのだった
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