刹那的発泡詩 < 1 >/nonya
「お世辞」
お世辞を言うのは
下手ではない
お世辞を言われるのが
下手なのだ
流れ落ちるほど
ユルユルに頬を緩ませて
頭の上に八分音符を
乗せてりゃいいものを
野暮な指でお世辞の裾を
めくってみたくなる
真っ赤な嘘の裏地を
嗤ってやりたくなる
「勘違い」
言葉で君を落とせると思った
言葉で人を殺せると思った
勘違いを敷き詰めた部屋で
僕は裸足の王様だった
「臭い」と鼻で笑われた
「臭い」と眉で疎まれた
「臭」は自分が大きいと書くのだと
気がついた時は遅かった
独りよがりというガスで
限りなく肥大し続け
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